ベッドサイドでのモニタリングでは、治療方針の決定や異常の早期発見などに役立つバイタルサインの情報を得ることができる。患者の一人ひとりのベッドのそばに置いて使用される医療機器であり、正しい取り扱いを知っておくことで、正確な情報を得ることができる。
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- 心電図や心拍数(脈拍)、呼吸数、血圧、体温などの異常を早期に発見する
- モニタから得られた情報は、治療方針決定の指針である
- 安静が必要なのか、日常動作が行うことができるか、などアセスメントを行うための情報が得られる
- 必要に応じたケアに対する判断材料となる
1 必要物品を用意する
モニタリング
- 心電図
- 不整脈や心拍数、虚血状態の有無など、心機能を評価
- 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)
- 酸化ヘモグロビンの割合を測定し、動脈血中に含まれている酸素量を求める。正常範囲はPaO2が90〜100mmHg、SpO2が95%以上で、PaO2が45mmHg以下、SpO2が80%以下ではチアノーゼを起こすおそれがある。
- 呼吸
- 胸部に貼った心電図電極に高周波の電流を流し、電極間のインピーダンス(電気抵抗)変化を検出して、呼吸の状態や呼吸数をみる。
- 血圧
- 血管内にカテーテルを挿入し、刻々と変化する血圧を連続的に測定する。手術室やICU/CCUなど重症患者のモニタリングに欠かせない。
ベッドサイドモニタ
ベッドサイドモニタには心電図のみを観察するものから、血圧や呼吸、体温、SpO2など複数のバイタルサインを観察できるものまである。患者から得られたバイタルサインを直接的にベッドサイドモニタ本体に伝達する有線方式と、無線送信する方式(ワイヤレス・テレメトリー方式)がある。
心電図測定に必要な物品
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クリップ式の電極と送信機
- 送信機
- クリップと電極リード線
- 電極
電極を皮膚に密着するように貼り、電極素子をクリップで挟む。得られた心電図情報を送信機でベッドサイドモニタに送信する。
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リード線付きタイプの電極
X線透過にすぐれたカーボンリード線付きタイプの電極で、レントゲン撮影の際に電極を外さなくてもすむ。心電図の観察が常時必要な患者に使用される。送信機に接続して使用する。
SpO2測定に必要な物品
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パルスオキシメーター
- クリップ式プローブ
- 粘着式プローブ
送信機に接続し、動脈血酸素飽和度(SpO2)のデータをベッドサイドモニタに送信する。体動などによってプローブが外れやすい場合や小児の場合などは、粘着式プローブを用いる。
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パルスオキシメーターの仕組み
血液中のヘモグロビンに対して酸素がどれくらいの割合で結合しているかを示したものが動脈血酸素飽和度である。プローブの発光部より出る、赤外光で酸化ヘモグロビンを、赤色光で還元ヘモグロビンを測定し、受光部で受け取る。
2 ベッドサイドモニタが必要な患者とは
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心電図モニタが必要な患者
(1)不整脈が出現する可能性のある患者、(2)術後やカテーテル治療を受けた患者、(3)集中治療を必要とする患者、(4)生命の危機状態にある患者、(5)ショックの患者、(6)失神や動悸を訴える患者、(7)呼吸不全、電解質異常などで急変が予想される患者、など
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動脈血酸素飽和度(SpO2)モニタが必要な患者
(1)呼吸循環動態が不安定な患者、(2)低酸素血症にある患者、(3)人工呼吸器装着患者、(4)急変時の患者、(5)在宅酸素療法(HOT)を受ける患者、(6)鎮静薬を使用している患者、など