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活躍の場が広がるスペシャリスト 認定看護師

看護師として一定のキャリアを積んだ後、教育機関に通い、審査試験を経て専門分野のエキスパートとして活躍する「認定看護師」。第一期生59人が誕生してから14年が過ぎ、その数は合計9,048人を数えるまでになりました。
認定分野は現在19分野あり、制度発足当初からある「皮膚・排泄ケア」や、社会的ニーズが高まる「感染管理」「緩和ケア」などの分野は、特に有資格者の数が増えています。

人気のテレビドラマにも登場

経験を積みながら、知識を深め、技術を磨き、医療専門家としてより高いところを目指す…その選択肢の一つとして、認定看護師を意識する看護師は少なくありません。そればかりか学生の間でも、漠然とではあれ将来的な目標として認定看護師を考える人が増えてきたようです。

ある病院の看護部長は、こう語っていました。「面接すると、『将来は認定看護師を目指しています』と語る学生さん、結構います。ここ1〜2年の現象ですね」

認定看護師に対する注目が高まる背景の第一は、パイオニア達の働きぶりや実績が評価されてきていることでしょう。メディアにその活躍が取り上げられる機会も増え、認知度が高まってきたことも挙げられます。

2009年5月にスタートして人気テレビドラマ『救命病棟24時』(フジテレビ系列)第4シリーズでも、初めて認定看護師が登場しました。前シリーズまではごく普通の看護師だった木村多江扮する山村紗江子が、認定看護師の資格を持つエキスパートとして活躍しています。

臨床現場におけるエキスパート

認定看護師は1995年、公益社団法人日本看護協会によって創設された資格認定制度で、「ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いて、水準の高い看護実践のできる者」と定義されています。

もう一つの資格認定制度である「専門看護師」が保健医療福祉のコーディネーションや研究活動などを任務としているのに対し、認定看護師はあくまでも臨床現場におけるエキスパート。現場で次の3つの役割を果たし、看護ケアの広がりと質の向上に貢献します。

(1)実践 …特定の看護分野において、個人、家族および集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。
(2)指導 …特定の看護分野において、看護実践を通して看護者に対し指導を行う。
(3)相談 …特定の看護分野において、看護者に対しコンサルテーションを行う。

専門とする分野も、専門看護師は「がん看護」「精神看護」など大きな枠組みであるのに対して、認定看護師のほうは「救急看護」「透析看護」「新生児集中ケア」等々、特定された部分を扱います。

多いのは『がん治療』関連の分野

認定されている19分野と認定看護師数

認定分野は、社会的なニーズを考え合わせながら次々と新設されてきました。
例えば、「がん」の分野。がんは今や3人に1人が罹患するという最もポピュラーな疾患になっていますが、同時に最も重篤な病気でもあります。また、術後も長く化学療法や放射線療法を受ける必要があったり、再発・転移予防のためにセルフ・ケアを要したり。人によっては身体機能の一部を失い、生活上の様々な困難の克服が課題になる場合もあります。

ですから認定分野でも、「化学療法」「放射線療法」「がん性疼痛」「乳がん」と、4分野をがん関連が占めているのです。

このうち「がん放射線治療看護」は最も新しい分野で、2009年から教育が始まりました。放射線治療は、以前は適応が限られていたのですが、最近はそれが広がり、治療を受ける患者も急増しています。その現状を踏まえた上での、認定分野新設と言えるでしょう。

そのほか「緩和ケア」も、実際のケアの対象は、がん患者が大半です。他の分野を見ても、「感染管理」や「糖尿病」など、社会的ニーズの多い分野が揃っていることが分かります。

病院側も育成に積極的

認定看護師の推移
認定看護師への道

認定看護師への道はなかなか厳しいのですが、受験希望者は年々増え続け、2011年には過去最高の1,713人が合格しています。

制度が作られて認定看護師が誕生して間もない頃は、数が少なく、病院関係者にさえ「それ、何?」と言われるような状態でした。当然、活動の成果も未知数で、あまり注目されていなかったのです。しかしパイオニア達が頑張り、その活動の実態が次々と報告されるにつれて、認知度が高まり、病院側も育成に積極的になったと言われます。

早い時期に資格を取った人達に聞くと、一昔前は認定看護師の資格を取ろうと思った場合、休職するか、場合によっては退職して教育を受けるケースが多かったそうです。希望を持ちながらも生活のことを考え、二の足を踏む人もいました。ところが最近は多くの病院が、認定資格の取得を全面的にバックアップ。
教育中の期間を「研修」扱いにして、給与を全額支給するほか、教育費用も出したりしています。むろん誰でもOKではなく、院内の審査などに通ればの話ですが。

特に、「皮膚・排泄ケア」「緩和ケア」「がん化学療法」「糖尿病看護」などは、認定看護師によるケアで診療報酬が加算されるので、病院側も積極的です。病院によっては看護部長などの管理職が、一定のキャリアを積んだ看護師に「認定資格を取りなさい」と積極的に勧めているといいます。

認定取得後は活動の場が広がる

認定看護師の活動の場は、分野によっても、病院の方針によっても異なります。最も「エキスパートらしい」のは、特定の病棟に所属せず、独立したポジションを持って活動する人達。組織横断的な「ケア・チーム」に所属し、病院全体をカバーするわけです。「皮膚・排泄ケア」「感染管理」「緩和ケア」などの認定看護師が、しばしばこういった形で働いています。「安全管理部」といった部署が作られていることもありますし、看護部長直属になっているケースもあります。

最近増えてきた「看護外来」も、認定看護師の活躍の場。認定看護師以外でも看護外来に係わることはできますが、認定分野のある外来は認定看護師が担当するのが一般的です。

「集中ケア」や「手術看護」「新生児集中ケア」等々、やはり特定の病棟などが主な仕事場になる分野もあります。また病院の方針で、皮膚・排泄ケアや感染管理などの認定看護師でも病棟に所属している例は珍しくありません。しかしそういった場合でも、病院全体の教育や地域の啓蒙活動に携わったり、専門分野に関して病院全体の相談に応じるなど、活動の場は一般の看護師よりはるかに広いのです。

医師とも対等の立場に立つ

認定看護師になるには、まず、認定看護師教育機関(全国40ヶ所)に入学して、6ヶ月間の教育を受ける必要があります。教育機関の受験資格は「実務経験5年以上」。そのうち3年以上は、認定分野の実務でなければなりません。

単純計算すれば20代半ばで資格を取得できるのですが、現実問題としてそれはほとんど不可能だそうです。単なる「一人前の看護師」ではなく、十分な知識・技術を持ち、プロとして自信を持って仕事ができるだけの実力が求められるので、30歳前に取得する人はさほど多くありません。30代が中心で、なかには40代で教育機関に入学する人もいます。

教育機関における勉強は、認定看護師の人達が「学生時代よりはるかに大変だった」と口をそろえるほどですし、資格も看護師資格と異なって一生モノではなく、5年ごとに更新審査を受けることになっています。審査のなかには「臨床実務」の経験を問う審査もあり、「ペーパー認定看護師」は認められないのです。

でも、そういう厳しい条件が付いているからこそ、自他共に認める「エキスパート」なのです。糖尿病看護の認定資格を持つある看護師は、資格を取ったことで医師と対等にモノが言えるようになったと言います。

「自分の専門の分野では、ドクターと対等に議論できます。『セルフ・コントロールの指導については、あなたに任せる』とも言われていて、相談されたりもします」

どんな仕事でも、「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」があります。管理職になって看護全体、あるいはもっと広く医療全体を見ていく道を目指すか、スペシャリストとして特化した分野で第一線を走り続けるか。後者を選びたい人にとって、認定看護師の資格が強力な武器になることは間違いありません。

専門看護師

日本看護協会は認定看護師のほかに、「専門看護師」という資格制度を設けています。認定看護師と比べるとやや特殊な資格と言え、有資格者もまだ612人( 2 0 1 1年9月現在)と少数ですが、簡単に紹介しておきましょう。

専門看護師の定義

複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して、水準の高いケアを効率よく提供するための、特定の専門分野の知識及び技術を究めた者。「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の6つの役割を果たすことにより、保健医療福祉や看護学の発展に貢献する。

資格取得条件

(1)日本国の保健師、助産師、看護師のいずれかの免許を有すること
(2)看護系大学院修士課程修了者で、日本看護系大学協議会が定める専門家看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位)を取得していること
(3)実務経験が通算5年以上、そのうち3年間以上は専門看護分野の実務研修(このうち5ヶ月は修士課程修了後の実務研修であること)。
(4)上記の3条件を満たし、認定審査(書類審査・筆記試験)を受けて合格すれば認定証が交付・登録される。

専門看護師の専門分野

  • がん看護
  • 精神看護
  • 地域看護
  • 老人看護
  • 小児看護
  • 母性看護
  • 慢性疾患看護
  • 急性・重症患者看護
  • 感染症看護
  • 家族支援