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平成24年度診療報酬改定で「看護」はどう変わるか?

医療ジャーナリスト/牧 潤二

2訪問看護

医療保険と介護保険に基づく訪問看護

次に、訪問看護について見ていこう。保険制度と手段・組織という観点からは、それぞれ2つに分かれる。

まず、保険制度としては、訪問看護は▽医療保険制度(診療報酬)▽介護保険制度(介護報酬)、の2つに基づいて実施している。制度としては介護保険を優先し、要介護者・要支援者(40歳以上)であれば原則として介護保険を利用する。それ以外、例えば小児など40歳未満の者は、医療保険を利用することになる。

また、看護訪問を実施する組織・施設としては(1)医療機関(病院・診療所)の看護部門、(2)訪問看護ステーション、の2つがある。

訪問看護に関する診療報酬

平成24年度診療報酬改定では、在宅医療の充実という観点から、訪問看護の役割が診療報酬上で評価された。(表1参照

例えば、がんをはじめ種々の患者の試験外泊時における訪問看護ステーションによる訪問看護の評価として、訪問看護基本療養費(V)が新設された。

専門性の高い看護師が訪問した場合の加算も施設された。これは、鎮痛療法・化学療法を行っている患者(在宅)、または真皮を越える褥瘡の状態にある患者(同)を対象に、同一日に、一般的な看護師と「専門性の高い看護師」が訪問することについて評価したもの。ここでいう「専門性の高い看護師」とは、緩和ケアまたは褥瘡ケアに関する専門の研修を受けた看護師のことである。

訪問看護ステーションの課題

訪問看護ステーション(事業所)の数は6,000程度で、近年、微増または横ばい傾向である(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」)。かつて厚生労働省は「ゴールドプラン21」で、平成16年度において訪問看護ステーションを9,900か所整備するとしていたが、その目標の半分程度にしか至っていない。

そのように訪問看護ステーションがあまり増加していない理由としては、次のようなことが挙げられている。

  • (1)職員が5人未満である施設が過半数を占め、小規模では赤字傾向にある。
  • (2)看護職員が基本的には一人で訪問するため、ある程度、実力や慣れが要求される。
  • (3)訪問看護ステーションの開設には、常勤換算で2.5人以上の看護職員の配置が必要とされる。この人員基準が、訪問看護ステーションの開設や経営のハードルを高くしている。ただし、夜間・緊急時の対応などのために、その人員基準は意味があり、順守すべきという意見も根強い。
  • (4)病院が「7対1入院基本料」などを取得するため、訪問看護ステーションの看護師を引き抜いたりすることもあった。

営利法人による訪問看護ステーションが増える

訪問看護ステーションの数はあまり増加していないものの、近年、その設置主体は大きな変化を見せている。平成22年10月1日での訪問看護ステーション(事業所)の設置主体を見ると、医療法人が41%を占めて最も多いが、その割合は減少傾向にある。(図1参照)

一方で、株式会社など営利法人が設置する訪問看護ステーションが増加傾向にあり、その割合は25%を占めるに至っている。この背景には、介護業界の大手民間企業が積極的に訪問看護ステーションを設置したり、大手のドラッグストアが訪問看護ステーションの分野に参入してきている、といったことが挙げられよう。いずれにしても介護保険制度の拡大を反映した動きであり、今後もこの傾向が続きそうだ。

図1 訪問看護ステーションの設置主体事業所数